生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
水色から橙色へと染まっていく空。

私は女学校から少し離れた場所にある小さな丘を登ります。

黒髪がなびいて、そこに色づくように牡丹の花の形をした髪飾りが揺れます。

(甘い香り……。とても弱いけれど)

風にのって花をくすぐった香りに振り返ります。

黒いマントに学生服を身にまとった青年がおり、彼もまた振り返ります。

視線が交わると、青年の被っていた学生帽が飛ばされ、私の足元に落ちてきました。

それを拾おうとして、彼と手が触れます。

突然のことに私は青年の手を弾いてしまいました。

「ご、ごめんなさい」

「牡丹……」

「えっ!? ちょっと……ん」

青年は私の手を掴むと、手の甲から掌へと口づけをしてきます。

手の震えに気づいてしまい、私はその手を拒絶することが出来ませんでした。

牡丹の花がやさしく香っています。

唇が離れると青年は目を閉じ、眉根をよせました。
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