生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
「んっ……!」
ですから唇に重なった温もりに気づいたときにはもう遅かったのです。
私の目はついに彼の姿を捉えてしまったのです。
ゆっくりと離れていく唇が名残惜しそうに見えてしまいました。
親指で何度も何度も私の頬をなぞります。
まるで確かめるような仕草に胸が締め付けられ、喉が乾いていく感覚を味わいました。
「ようやく私を見てくださいましたね」
「お願いですから……どうか離してください」
その言葉に彼は切なさを噛み締めます。
「貴女と別れてから百年、時が流れました。百年前の私は貴女に恋焦がれ、今の私も貴女を見てこんなにも想いが溢れるのです。ようやく出会えたというのに……。なぜ貴女は私を拒絶するのですか!?」
ここで取るべき行動はただひとつ。
口角を上げ、私は艶やかに微笑みます。
「百年前……。あぁ、私が遊女だった頃ですね。あの時の私は病に侵されていました。貴方はそんな私を抱きしめてくださいましたね。ならば最期くらい、夢を見せても良いと思うでしょう?」
嘘なんて慣れたもの。
新しい時代に生まれたところで女は嘘を吐く生き物ですから。