生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
「私には婚約者がいるのですよ」

そんな嘘をつきました。

わが身可愛さに、愛を拒絶します。

愛しても苦しいだけ。誰かを愛したらきっと依存してしまう。

そして捨てられた時を想像するのが怖い。

ならば最初から誰も愛さない。

そう考えているうちに、誰とも馴染めない呪われた身となっていました。

私は髪を束ねる牡丹の花の髪飾りを手に取ると、それを地面に落として踏みつけます。

彼の腕に咲く牡丹さえなくなれば、枯れてしまえる。

すり潰すように花を壊しました。


彼の悲痛な表情に私の心も悲鳴を上げます。

百年前の私が炎に包まれて苦しんでいるのです。


「貴臣様、どうか私のことは忘れてくださいな」

「貴女の心から笑った顔がみたい。その笑みを独占したい。……ずるい人だ。そうして僕を縛って離さない」

口の端から血が流れます。

それを親指で拭う姿に喉が焼け、全身が震えました。


「なにを抱えていたとしても貴女を想う心は変わらない」

「……変わらぬ愛なんて、ありません。だって今の私は貴臣様を愛していませんから」


貴臣様はとてもやさしい人。

本気で私のために怒ってくれるいとしい人。

そのことがとても嬉しい。嬉しい、嬉しい。

こみ上げてくる想いを隠しきれず、私は両手で口元を被います。

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