生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
「私は愛を信じられません。幼い頃に母はいなくなって、それから私は壊れてしまったのです。父が私に問うのです。母から連絡はあるか、と」
あると答えたら父は目を伏せるでしょう。
ないと答えれば安堵の息をつくでしょう。
どちらを見ても私の心は抉られるばかり。
ない、と答えるたびに愛が消えていきました。
「愛ってなんですか? これが愛だと言うならば、私は知りたくない」
貴臣様の胸倉をつかみ、静かに唇を重ねます。
どれだけ重なっていたかはわかりません。
唇が離れたとき、やっぱり微笑むしか出来ませんでした。
「好きでなくとも唇を重ねることは出来ます。もし貴臣様が本当に私を愛してくれていたのならば、感謝いたします。でも……ごめんなさい。私は貴方を愛せません」
違う、違う、違う。
本当は貴臣様と幸せになりたい。
前世の私も、今の私も痛いほどに泣き叫んでいます。
それでも私は愛に背を向ける。
幸せが見えない限り、好いた人と愛し合うことが信じられませんから。