生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
心は叫びながらも私は嘘を吐き続けます。
走って逃げだす卑怯者と罵って。
牡丹の香りは弱いから、別の香りを上書きして……。
「貴女が私の気持ちを信じられないのならば、この気持ちが変わらないことを証明してみせます! 明日も明後日もずっとここで待っています! 貴女が抱えているものも全部、全部受け止めますから!!」
叫ぶ声が聞こえました。
涙が溢れ出しても振り返りはしませんでした。
「貴臣様っ……。貴臣様ぁ!!」
私は泣きながら貴臣様の名前を叫びます。
牡丹の花は花の中の王として君臨していますが、花びら一枚一枚はとても薄くもろいのです。
幾重にも重ね合わせた脆い花びらが大輪の花に見せているだけでした。
「幸せになりたかった……はずなのに。なぜ?」
息を切らし、足がガクガク震えだします。
その場で膝をつき、大粒の涙がこぼします。
顔はくしゃくしゃでみっともない。
「次の私はっ! 何にも縛られることなく、貴臣様を愛したいです!」
心から笑って、ちゃんと気持ちを伝えられる人でありたいと。
弱い。あまりに弱い。
愛される勇気がなくてごめんなさいと、目を閉じました。
また会える距離だった。
だが会えない。神様とは引き裂くことを好んでいるのでしょうか。
世界が大きく縦に揺れます。
建物が崩壊し、砂埃に視界がのまれます。
鉄の匂いが充満するなかで、遠い丘に想いをはせます。
多くの嘘の中に、真実の言葉があったのか。
大輪の花は咲くこともなく。
さぁ、三度目こそ素直になれたらと。