生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
「学生」貴臣の待つ愛
君は女学生になってもキレイだった。

相変わらず儚い女性だと思った。

もう縛るものはないはずなのに、心は囚われたまま。

噓つきで、まったく笑みのない。

だから余計に欲しくなるなんて、この手は割とキモチワルイものだと自嘲した。

「愛ってなんですか? これが愛だと言うならば、私は知りたくない」

愛が信じられない?

なら信じられるまで閉じ込めてしまおうか。

いや、そんなことをしたら君は一生微笑んでくれない。

懸命な姿で甘く口説けば振り向いてくれる。

そんな簡単ではないからこそ、欲しくなる。

愛を知らない身には、甘美に酔いしれてほしい。

知らなくていい。そうすれば僕だけを愛してくれるから。

あきらめられるほど、百年待っていない。

今でも牡丹を育てることをやめられないのだから。


「あーぁ。こんなにキモチワルイのに。手放せないとは吐き気がする」


ゆっくりと歩み寄ればいい。

この丘で君が振り返るのを待つ。

だが世界は揺れて、君との繋がりがなくなった。

どうしたって神様は牡丹に触れさせてはくれない。

大輪の花だ。この無力な手では愛でるには足りないのだ。



百年、また百年。

あぁ、どうか今度こそ。もうこの手を無力と思うことがありませんように。

愛することに怯えることのないように。

この手をキモチワルイと思うことがありませんように。


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