生まれ変わって三度目の恋、今あなたに触れたい〜めぐり逢いて、この手が離れても何度でも〜
「ならばここで死ねぇ!!」
怒り狂った秋月様が短刀を懐から取り出して振り下ろします。
貴臣様は私を力強く抱きしめ、動かしてはくれません。
短刀は貴臣様の背中を突き刺し、抜かれると血が噴き出します。
秋月様は狂ったように笑って部屋を飛び出しました。
そこでようやくこれは現実なのだと実感し、私は泣き叫びました。
貴臣様の背中に手を回すと手は赤く染まります。
荒い息遣いと早い心臓の鼓動が貴臣様から聞こえてきます。
「貴臣様、なぜ……」
「はじめてお会いした時からお慕いしておりました。私にとって貴女は手の届かぬ存在。貴女と目が合うたび、どれだけ心躍ったことか。気丈に振舞おうとした姿をどれだけ愛おしいと思ったことか」
吐き出すような愛をぶつけられる。
霞む視界にいとしい人の姿を捉え、頬に触れます。
貴臣様のどこまでも深い漆黒に私の姿が映っています。
幸せそうに笑う貴臣様を見て、喉に突き上げてくるほどの喜びを知りました。
「知っていますか? 牡丹という花は”花中の王”とも呼ぶんですよ。私にとって貴女は最上級の花であり、手の届かぬ存在でした」
――私だけの者にしたいと、何度願ったか。
幾重にも花びらを重ね、美しい大輪の花を咲かせる牡丹。
たくさんの花が根付く廓で、花を咲かせることも許されず、ただ枯れてくのを待つ日々でした。
嘘をつき、そのたびに涙をぬぐった。
やがてその涙さえ嘘になった。
そんな私が生きたいと、願ってしまうのです。
やっと私を見てくれる人が現れたのだと。
私も見つめ返したいと思える人が現れたと。