なぜか彼氏ができない
***

「なつかしいね、キャンプ」
ワインを飲みながら二年半前を懐かしんで「ふふっ」と笑う。

「あの時のキャンプがあったから私たち、こんな風に仲良くなれたんだよね」
「俺はあの日から〝リンリン〟にされたんだよな」
林志朗があの日と同じように眉をひそめるから、また笑ってしまった。

私はあの日から二年半も、この人のことが好きなんだ。
だけどあの日から、林志朗は完全なる友だちムーブばかり。
私は〝恋愛対象外〟って言われ続けてるような二年半。

「……そろそろ本格的にあきらめるべき、かなぁ」
小さな声でつぶやいた。

「ん?」
「なんでもない。ワイン追加!」
「まだ飲むのかよ」
呆れながらも、優しい彼は私の分のワインを注文してくれた。


二十二時。
「もう一軒行こうよー」
散々飲んでバルを出て大通りに差し掛かったところで、私が言う。
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