なぜか彼氏ができない
無言。

林志朗はそういう男。
困って黙って。怒ったりしないし、バカにもしない、見捨てもしない。
優しいんだよね。
……だけど、手だって出してこない。
完全に〝友だち〟だから。
裏表のない優しさが残酷。

「いいよもう。冗談。リンリンこういうの苦手なのに、困らせてごめん」
私はあきらめて、だけどどこか皮肉っぽく笑いながら言ってしまった。
「また合コンで頑張る。帰ろ」
そう言って、ちょうどよく走ってきた〝空車〟のタクシーをつかまえる。
今日で林志朗のことはキッパリあきらめようって思いながら乗り込んで、行き先を告げようとした時だった。

「マギ、もっと奥行って」

私とは家の方向が違うはずの林志朗が、一緒にタクシーに乗り込んできた。
「え? 何? どうしたの?」
林志朗は私を無視して運転手さんに行き先を告げる。


二十二時四十五分。
「ん……っ」
気づいたら林志朗の家で、彼に服を脱がされながら唇を奪われていた。
「なんで……?」

荒くなった吐息の中で聞く。

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