なぜか彼氏ができない
「マギってキャンプ好きなんだね。手際が超良いもん!」
「この会社に入って、そのセリフってどうなの?」
「私はグランピングとバーベキューが好きなの! マギもまた行こうよ、バーベキュー」
一度だけ行った結芽ちゃん主催のバーベキューは合コンみたいなものだった。
「えー……」
普段だったら即断るけど、この日は少し考えた。
「……うん、行こうかな」
「お、誘いに乗るとはめずらしい。彼氏となんかあった?」
「……」
するどい結芽ちゃんの興味津々な視線が痛い。

「へえ、小林ってこういうの得意なんだ」
良いタイミングで林志朗が後ろから声をかけてきた。

「マギはキャンプ大好きだからね」
「なんで結芽ちゃんが自慢げなのよ。ほら、ペグちゃんと深く打って」
結芽ちゃんはブーイングしながらもハンマーでペグを「トントン」と打つ。
表情は案外楽しそうだ。
林志朗も笑っている。
「そっちのテントは張り終わったの?」
「いや、俺だけ一人だから、誰か手伝ってくれないかなーって思って」
「テントくらい一人で張れるようになりなさいよ」
「次回から努力する」

アウトドア用品メーカーだからって、みんながみんなキャンプ慣れしてるわけじゃないんだって、このキャンプで初めて知った。

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