なぜか彼氏ができない
「え、これってうちの会社の一番高級なラインのテントじゃない」

林志朗が使うテントを見て驚く。

「え? あー……そうなんだ。俺だけ一人だから、良いやつ使わせてくれたんじゃないか?」
「えーいいな〜! 絶対骨が強くて中も広いよ。居心地良いんだろうなー」
私って、自分が思っていた以上にキャンプオタクだったのかもしれない。

「じゃあ夜遊びに来れば?」
「え?」
「あ、えっと中村と一緒にさ」
「うん」
林志朗とはまだそこまで仲良くはなかったから、同期と仲良くなる良いチャンスだって思って嬉しくてニッコリ笑った。

直後、林志朗の「ギャーッ」という叫び声が響き渡る。
驚いて彼の方を見ると、組み立て始めたテントの中を見て固まっている。

「え!? 何? もしかしてヘビでもいた!?」
固まる林志朗の背後からテントの中を覗き見る。

「え……もしかして叫んだ原因、アレ?」

「……」

林志朗は蒼白した顔で無言で頷いた。

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