王子様だけど王子様じゃない

 ……親である、彼らだけが問題だった。

 何かにつけて柚月ちゃんと比べては私を蔑んだ。幼少期からそうしていたものだから、私の親はできるだけ遠ざけようとしてくれていたけど、私は平気な顔をして彼女とよく会っていた。

 柚月ちゃん自身はとても優しい子で、いつも私をそれとなく庇ってくれていたからだ。

 どうしてあの両親からあの子のような娘が生まれたのか、永遠の謎だ。彼女自身はどう考えていたのかはわからないけれど、あの親に苦しめられていたのは事実だった。

 過干渉な性質だった彼女の父母は、交友関係にまで口や手を出した。そのせいで彼女は学校で浮きまくり友人の一人もできなかったと聞く。

 私が彼女と会っていたのは、同情していたのもあったのだ。大人になってからは疎遠になってしまったけど、この間は久しぶりに連絡が来ていたな……と、柚月ちゃんとの思い出がよみがえってきていた。
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