王子様だけど王子様じゃない

真相の深層、あるいはエピローグ


 二人の結婚は破談となった。

 そもそも平山夫妻は良輔の養父からの融資を約束に柚月ちゃんを差し出したらしい。最悪だ。念の為に入れ替わっておいてよかった。

 披露宴が始まる前に、おばさんから支度を押しつけられた母と、こっそり呼んでいた須藤さんと私の三人で共謀して柚月ちゃんの身代わりになっていたのだ。

 身長はさほど変わらないし、和装だったから角隠しを被って俯いていればまずバレない。良輔を騙せるかは不安だったけど、ほぼこっちを気にしていなかったのが幸いした。

 数々の証拠を集めるために、典孝さんだけではなく君嶋さんの友人にも力を借りた。何でも屋のような仕事をしているらしいが、探偵のほうが儲かるんじゃないだろうか。

 この件で両家から訴えられるかと覚悟したが、それぞれ後始末で方々を駆けずり回っているらしく杞憂に終わった。例え終わっても自身の生活に手一杯だろう。それは良輔も同じだ。
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