王子様だけど王子様じゃない
典孝さんは息を荒げながら、器用に言葉を紡ぐ。
「一方的に、守る、守られる、なんてっ……お断り、だっ」
「私も……!」
それ以上は言葉にできなかったけど、典孝さんはわかってくれるからいいや、と揺さぶられながら思った。
ねぇ、王子様みたいになったり、ならなかったりする貴方。
私は貴方が貴方なら、もうなんだっていい。
他でもない貴方がいい。
互いの額を寄せ合って、この思いが伝わるようにと祈った。
──完──