夙夜夢寐


胡桃はなにが起きたか分からないようで、目をパチパチとしている。

……自分より混乱してる人がいたら冷静になれるって本当なんだね。


「誘拐?」


我に帰った胡桃は呟いた。

それに反論したのは、久石くん。


「違うわ!俺らのたまり場に来てもらおうと思って」


……馬鹿だね。

それにたまり場ってなんなの、久石くんってやっぱり不良?


「……ねぇ誘拐の意味って知ってる?人を騙して誘い出すことや連れ出すことをそういうの。あなたには頭がないわけ?」


「彩葵」


誘拐は嫌い。

合意のないことをするのは嫌だから。

名前を呼んだ胡桃の方を見ると、

"こ" "と" "ば" "づ" "か" "い"

……結構、私自身も苛立ちが出てきてしまった。

その証拠が言葉遣い。

いつもはもっと丁寧に返せるのに。

はぁ……とため息が出そうになってた時。


「……君たちどういう関係なの?」


聞いてきたのは和希さん?って人。


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