夙夜夢寐


次の授業は体育。

私は教室からグラウンドでリレーの練習をしている人たちを眺めていた。

体育祭が近づいてきている今は、練習でもみんなの応援がよく聞こえている。


「体育祭、私も出たいな」


思わず呟いた言葉には、きっと私の願いが深いことを表していた。


「出ればいいじゃん」


思わず肩がビクッ、と震えた。

温かみのある柔らかい男子の声だった。

グラウンドの方を向いていた私は振り向いた。

そしたら彼はもう1度いう。


「出ればいいじゃん、体育祭」


なにも知らないのに、そんなこと言わないでよ。

また口から出ていきそうになった生意気な言葉は私をさらにイラつかせた。


「どちら様ですか?……ちなみに出たくてもね、出れないの」


「久石遥羽、4組。転校生ってお前のこと?」


「そうだね、2ヶ月程前に転校してきたね」


2ヶ月も前に転校してきたのに今さらそんなことをいうの?

他人に興味がない人なのかな。


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