夙夜夢寐
「サボり仲間だと思ったのに、違ったのかー……」
久石くんはどうやらよく授業をサボるらしい。
そんなこと私に言わないでよ、って感じ。
私は久石くんと馴れ合うつもりは一切ない。
「私がサボっているように見えるの?」
そう冷たく言い放った私は、机の上に広げていた英語の参考書を片付けて席を立った。
そしてそのまま教室から出た。
……出たのはいいけど、どうしよう。
図書館に行ってみようかな。
この学校には図書室ではなく、図書館がある。
案内してもらった1度しか入ったことがない。
大きな建物の中に入ると壁一面に広がる本が見える。
「すごい、きれい」
こんなに本があるんだ。
しばらくは図書館に通って読書月間になりそう。
入口の近くにある分厚い本を手に取りパラパラとめくってみる。
本の匂いがする。
"バタンッ"
なに!?
突然扉を閉めるような大きな音がした。
「あら?こんな時間に珍しいわね」
クルクルに巻いてある茶色の髪の毛に、上手なお化粧。
誰がなんと言おうと美人で綺麗な人が奥の方から出てきた。