夙夜夢寐
「こんにちは。図書館の司書教諭の坂井です。あなたは確か転校生の渡邉さん…よね?」
……私のこと知ってたんだ。
こんなに大きな図書館だもんね、司書教諭もいるのにも納得。
「こんにちは。そうです!渡邉彩葵です!……突然すみません」
第一印象って大事だよね。
仲良くなると印象変わる人とかいるけど結局1番最初が肝心で大事だと思う。
「いえいえ、ゆっくりしていってね。なにか本でも借りる?」
ふわふわとしてる雰囲気の中でしっかり軸もある。
完全に生徒、主に男子にモテるタイプの先生。
「いいんですか〜?わぁー嬉しい、ありがとうございます!」
「ここは図書館だからね!本を借りる場所なんだから。一部の子たちみたいに話に来る場所じゃないんだから」
やっぱり。
私はあることを確信した。
先生はおしとやかに笑いながら、本を選んでおいで、といいカウンターのほうに向かっていった。
私は本を選びながら考える。
どうして坂井先生は私に聞かなかったのか、こんな時間に生徒がいることなんかおかしいはずなのに……。