モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
「…優香、よく考えなさい」
「優香ちゃんが養子にいくと羽鳥はどうなるの?」
「一華お姉さんがお婿さんを取ればいいと思います。そうすれば、お義母さんも娘と離れないで済みます。東雲家の結婚式となれば、上流階級の方達もご招待されるでしょう。そこで素敵な方に出会うんじゃないですか?」
「一華が羽鳥の後継になるのね。それなら、あなたの養子縁組も頷いてもいいわ。東雲家と結婚するあなたがいるわけだし、一華も、上流階級の男を捕まえて、お金に困ることないわね」
「ママ、一華、イケメンのお金持ち捕まえてくるね。ママに楽をさせてあげる」
「まぁ、いい子ね」
私は、あなた達の面倒など見ませんけど、勝手にそう思っててくださいと、笑う。
この家を相続しているのは私なので、叔父の養子になり結婚すれば、この人達とは、もう、家族でもなくなる。
その時までの我慢だと。
翌日は、朝早くから叔母と共に、美容院で着付けとメイクに髪のセットもしてもらう。
「うち人から聞いたけど、驚いたわ。あの人達、ほんとに自分勝手ね。お見合い相手が気に入らないからって、優香ちゃんに押し付けるなんて、信じられないわ」
「ほんとですよね。でも、これでよかったと思います」