モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
「はぁっ?余計なことを」
「なんだ?好きな女でもできたのか?」
「まぁ…気になる女ができた」
「それなら、そうと早く言わんか。で、どこのお嬢さんだ?」
「誰かもわからないんだ」
「…わしの孫のくせに、不甲斐ないの。調べさせるか?」
「いや、自分でなんとかして探す。だから、その見合い断っておいてくれよ」
「そうは言っても、話は進んでしまったからの。話が決まる前に興信所に調べさせればよかったが、再婚相手の娘の方は、いろいろと男遊びが激しいのが気に入らなかった。まぁ、会っうだけ会ってみて、断ればいい」
「そんな女と会ったら、まとわりつかれそうで嫌な予感しかしない」
祖父も気に入らない女の見合い写真を渡されて、開いてみれば、見かけたような顔だった。
どこだ?
どこかのパーティー会場でも見たような顔だが、そこじゃない。
何か引っかかっていて、肝心なことが出てこない。
「結構な美人だぞ。わしとしては、再婚相手の娘の姉の方より、妹の方がよかったんだが、羽鳥の後継だと言われて社長に断られたよ」
あー、それだ。
どこで見たかと思ったら、あのバーで知り合った女と一緒にVIPルームに入っていた女だ。