モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
成人しているので籍は個人で抜けることはできる。だが、家のこともあり養子縁組を勝手にするとなると、後々トラブルで面倒なことになるので、躊躇っていた。
だが、今回の件で義母の言質は取ったし、自分の利益になると踏んでいる今がチャンスなのだ。
あの2人には、この家から出て行ってもらう。
そう思うと、少しはスッキリとして、着物を脱ぎ服に着替えたのだ。
リビングからは、2人の笑い声が響いている。
「あんなのと結婚とかキモい。行かなくてよかった」
「ほんとね。いくらお金持ちでも、あれはね…」
「あんなのとキスとか無理」
「一華は、花のように綺麗な子なんだもの。隣に立つ男は、見劣りしないほどのいい男で、私達を幸せにしてくれる男じゃないとね」
「わかってるよ。うふふ…結婚するなら私に相応しい男じゃないとね。前々から、素敵だなぁって思ってる人いるんだ。あの人と結婚したいな」
「まぁ、一華。その人に恋しちゃったの?」
「そうかも。ほんと素敵な人なの。調べたら東雲ほどではないけど、ご実家もお金持ちなの。妹の方と仲良くさせて頂いて、今度、紹介してもらおうと思うわ」
「そう…お金持ちならいいんだけど、あの子の結婚式で、もっと素敵な人がいるかもしれないから、まだ、その人に決めちゃダメよ」