モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて

京子さんに支払うお金さえも払いたくないのか、義母は、私の行いを見て見ぬふりをしているのだ。

掴んでいたお金もヒモ男達に奪われて、私は、VIP席から追い出されてしまった。

もう、疲れた…

今日だって、好きでこんな場についてきた訳じゃない。一華に無理矢理連れてこられたのだ。

彼女に誕生日を祝ってと言われ、難色を示したら、いつものように、義母の前で、義理の姉妹だから嫌なのねと難癖をつけてきて、義母が不機嫌になるので、仕方なくついて来た。

姉妹となった時から、彼女は、私に嫌われているというふうに装う演技は上手い。確かに今では嫌いだ。

そうさせたのは彼女だと思う。

義母は好きになれなくても、姉妹になったからには仲良くしようと幼い時は思っていたが、出会った当初から嫌われていたように思う。

兎に角、彼女らといる生活に疲れている。

父が亡くなってから何度、家を出ようと思ったかしれない。だが、両親と思い出のある家を、あの親子が好き勝手するのを見過ごせないのだ。

彼女らに配られた遺産分割分が、後どれだけ残っているのか知らないが、生まれた時から住んでいる家も、売らねばならないと考えるほど疲弊していっている現実に疲れていた。
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