モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて

ポツリと呟き後、彼は黙り、話しかける雰囲気ではなくなってしまっていた。

そして、最初に寄った結婚式場は、盆地から見下ろす教会がある式場だった。

パンフレットやネットで見ていた通りの美しい絶景に、息を呑んんだ。

「ここ、気に入りましたか?」

「はい、とてもいいですよね。ここ、第一候補だったんです」

「それなら、ここにしましょう。そのうち、お披露目として盛大な披露宴を別にしないといけなく、あなたには苦労かけますから、式だけは、あなたの好きな場所でしましょう」

「いいんですか?」

「もちろん。早速、契約してしまいましょう。一番早い日がいいですね」

「そんなに急がなくても私は、大丈夫ですよ」

「俺が待てない」

「えっ?」

周りに人がいないことが救いだった。

鷹也さんは、突然、腰を抱きしめてきて唇にキスしてきたのだ。

この人は誰だろう?

そう思うほど、巧みなキス。

唇を甘く喰んだ後、舌先でなぞる唇をこじ開けて、舌を絡めてくるまで、あっという間の出来事。

鼻先には、彼のつけるスパイシーな香りが漂い、溺れてるように口を開けた中で、彼の舌は、荒々しく暴れていた。

顎をつたう涎を舐め上げて、また、キスを再開させる。
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