モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
「えっ?どちらのとは?」
「東雲鷹也と守井鷹也よ。面倒なことまでしてるバカな男」
呆れたように見つめた先には、一華と、守井 鷹也がいた。
一華が彼の腕に抱きついている姿に、イラッとなるが、私の男ではないと視線を逸らした。
それを見ていた静香さんは、私の腕をとり歩きだす。
「東雲家と、うちは親戚なのよ。だから、あなた達の結婚式には私も出席すると思うわ」
どうりで、彼と鷹也さんが被るわけだと変な方向に納得していた。
「そうなんですね…」
そう答えながらも、一華と彼が気になるのだ。こんなことで、鷹也さん良き妻になれるのだろうか?
「もう、ほんと可愛いわね。考えてることが全部表情に出るんだから。大丈夫よ。あんな女にお兄様は引っかかったりしないわ」
「私は、鷹也さんの婚約者ですから」
そう、私は、東雲 鷹也の婚約者なのだと言い聞かせ、彼を忘れようとする。
「そうよ。婚約者なんだから、奥さんになるのは、あなたしかいないの」
話がズレている気がするが、静香さんなりに私を励まそうとしてくれてるようなので、頷いておいた。
「ふふふ、素直で可愛い。あなたのような妹が欲しかったのよね。これから仲良くしましょうね」
「よろしくお願いします」