モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
そこからの記憶が飛んでいて、今、私は
なぜ、男に抱かれているのだろうか?
私の唇を愛撫する唇から吐息が漏れて、甘い香りのアルコールの匂いと、スパイシーな香水の香りが混ざり、身体中を熱く滾らせているのだ。
肌をなぞる大きな手のひらにも、体は反応して自分の声とは思えない甘えた声が部屋中に響いていた。
「あっん…そこぉ…もっと…」
肌触りのいい白いシーツの上で、見知らぬ男に突かれ、羞恥心など捨て求めているのは私だった。
もう、快感で狂わされる寸前で、今更、やめてなど言える状況ではなく、快楽に侵されて、体が勝手に反応している。
「…はっ、はぁ、お前サイコー。貪欲に絡めて欲しがって離さない。頭の中まで気持ちいいの始めたわ。朝まで付き合えよ」
「んっ…わかったから、早く…」
再び、再開され、見ず知らずの男との一夜の情事に溺れていくが、疲れていたせいもあり、快感を拾いすぎて意識を飛ばして眠っていたらしい。
頬を撫でる手にくすぐったくて、目覚めていく。
「こら、…やめて」
寝ぼけて、家で義母が可愛がっている猫だと思い、振り払ったのだが、手触りが人だと気がついて一気に目が覚めた。