モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて

「あの家は、東雲が買取ました。近々、どなたかにお貸しするので、お二方は、元々ある物には手をつけずに、ご自分達の私財で新しい住まいをお探しください。彼女が確認し、なくなっていた物があった場合や、出て行かれないなら、法的手段も考えますよ」

「私達は、家族よ。どうして、そんな酷いことができるの?」

「嬉しいことに、もう、優香とあなた達は、家族ではありませんよ。血の繋がりもなければ、籍もかわった。家族?家族なら、親の残した家と会社、その従業員を守ろうと頑張っている彼女を見てみぬふりをして、彼女の父親の遺産をほぼ使い果たし、まだ、彼女に寄生しようする害虫はどなたでしょ?そんな方と東雲は縁を繋げるつもりはありませんので、二度と関わらないでいただきたい。今日、この場に来ていただいたのは、彼女の優しさです。新たな寄生先を見つけられることを祈ってますよ」

鷹也さんに追い払われた2人。

一華は、いい出会いがなかったようで、残された私財を売り払い、安アパートに逆戻りしたらしいと、噂で聞いた。

彼女らと二度と会うこともないだろう。

私は、鷹也さんの愛に包まれて、今、お腹には命が宿っている。

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