モウセンゴケ〜甘い香りに誘われて
目の前で、おかしそうに笑う端正な顔立ちのイケメン。
ミディアムヘアの茶髪で、今風のウルフカットが似合っている。
「それはないだろう?数時間前まで愛し合った仲なのに、つれなくないか?」
男の顔がわかるほどカーテンの隙間から薄明かりが差し込んで、部屋が明るくなっていた。
とてもいい声で揶揄う口調から、怒っているわけではないとわかるが、なぜ?
「すみません。あの?」
「なんだ?」
枕に肘をついて頬に手をあて、空いてる手で私の頬を指の背で撫でて遊んでいる姿は、一夜の相手には甘すぎではないだろうか?
そう、明らかに事後なのはわかるのだが、なぜまだ一緒にいるのだろう?
「帰らなくていいんですか?」
「どうして?ここは俺がとった部屋だぞ。それにお前が起きるの待ってたんだ。起きたなら、またしようぜ…」
ゾクゾクするようないい声で抱き寄せる男の上になり、頭部を押さえられてキスされていた。
男の手が胸や下半身を弄り、いいところを知られた体は、待ちわびていたように受け入れている。
「ほんと、いいよ。お前の体。モウセンゴケって植物知ってるか?」
男の上になり快感を拾いながら、パッケージを破っている姿を見つめたまま首を左右に振る。