俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「結婚してやるって言ってるんだからいいだろ? 香奈美は俺と結婚したいだろ?」

「え? お互いにしたくてするものじゃないの?」

やっと出た声がうわずる。私だけがしたいからって結婚をするものじゃないはず。彼にとっても私にとっても唯一無二の存在だから結婚するんじゃないの?

「結婚前の遊びだよ。香奈美とちゃんと結婚するから」

「悠真はそんな簡単に遊びだからって女の子と旅行に行けるの? 私への裏切りだって思わないの?」

彼はさっきから遊びだと言い、謝ることも悪かったと反省する様子もない。そんな姿に呆れてしまう。
すると彼は苛立ってきたのを隠すことなく、机をコツコツと爪で叩いている。

「だから何?? 遊びだって言ってるのにいつまでもグダグダと言ってんなよ」

威圧的な態度や言葉にますます萎縮してしまい何も言い返せない。

「あー、イラつく。楽しく帰ってきたのにこんなこと言われてうんざり。結婚する気も失せるわ」

私の方こそ彼との結婚なんて考えられない。こんな人だったなんて……。
まさか悠真はまだ私が彼と結婚したいと思ってると感じているのだろうか。
元々彼は自分本意なところがあった。同棲してからも私を気遣うような言葉を言うが何も変わらなかった。してもらって当たり前だと思っていたのかもしれない。
こんないびつな関係はおかしい。
そう思い、口にしようとするとバンッと机を両手で叩いた。
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