俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「心配しなくても良心的なお店だ。大将が美味しいと思ったものを食べて欲しいっていうわがままな店だから注文をする客を受けたくないからとのれんも出さない変わり者だが」

それを聞き幸代さんも笑っていた。

「本当に変わり者なのよ。でも味は保証するわ。中丸さんが嫌いなものだけ教えてもらえたら任せてもらえるかしら?」

「は、はい。なんでも食べられますのでよろしくお願いします」

私がそう伝えると幸代さんは部屋から出ていった。

「すごいお店ですね。そういうシステムのお店にきたことがないです」

思わず感想を口にすると、藤代さんが笑いながら頷いていた。

「あぁ、俺も初めはそう思っていたよ。そもそも初めて入った時は匂いに惹かれてだったんだ。のれんもないのによく入ったと思うよ」

確かに店構えは店舗だがやっているかわからない状態で扉を開けるのは勇気がいる。そう思うと藤代さんは仕事と同じで行動力のある人なのだと思う。
幸代さんがお通しを運んできたが黒い皿の上に置かれた輪切りになった緑のものが3つ。なに?と想像が追いつかずに驚いていると藤代さんは箸を割っており、私も自分の箸を割ると緑のそれに手を伸ばした。

「熱い!」

思わず出てしまった声に藤代さんは驚き、水を手渡してくれた。受け取ると一口飲み込む。

「大丈夫か?」

「はい。ごめんなさい、想像よりも熱くて驚いてしまって」

「カマンベルチーズが溶けているから熱かったんだろう。中丸さんは思ったよりもそそっかしいな」

クスッと笑う彼の顔はどこかいたずらっ子のような表情で驚いた。
ズッキーニの上にカマンベールチーズとベーコン、ハーブが乗っていて、改めて食べてみると塩加減といいズッキーニの柔らかくなった感じといい初めて食べたがとても美味しかった。
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