俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「中丸さんは悩んでいるのかもしれないが家事は本来相当な料金を支払うものなんだ。だから気にしなくていい」

「でも気にします。それでは、タダでお世話になる代わりに掃除をします。それを家賃代と思ってください」

「いや……」

「もし受け入れてもらえないのならこのお話はなかったことにさせてください。私も遠慮しながらここにお世話になるわけにはいきませんから」

藤代さんからお金を頂いた挙句にここに住むなんてできない。情けない姿ばかりを見せてしまったが、これは私の意地だ。
彼は私の顔を見ると諦めたように小さくため息をついた。

「じゃ、家賃の代わりに掃除をお願いしたい。週3回でもいいだろうか?」

「毎日ではないのですか?」

「まさか。今までも毎日は来ていなかった。だから週3回でいい」

「わかりました」

私は空いている客室のなかで1番玄関に近い部屋を使わせてもらうことにした。部屋には何もなく、今日寝る布団さえないが服を着込み、コートかけて寝ればいい。幸いここにはエアコンもあるから風邪をひくことはないだろう。
先にお風呂に入っていた藤代さんから声がかかった。

「中丸さん、風呂出たから入るといい。右の棚にタオルが入っているから自由に使ってくれ」

「はーい。ありがとうございます」

持ってきたルームウエアと下着類をバッグから取り出すと先ほど案内されたバスルームへと向かった。
まだ湯気の残るバスルームはなぜか急に緊張してしまう。ただのルームシェアなのに、先ほど見かけてしまった部屋着姿の彼を見てドキドキしてしまった。普段髪をセットしきちんとまとめ上げ、スーツ姿の彼とは違いTシャツにスウェットの彼は首にタオルを巻き、髪からはまだ水が滴っていた。
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