俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜

住み込み

手探りで過ごした4日間。
ようやく土曜日になり一息ついた。
生活リズムも勝手もわからず緊張の連続だったが住むところがあるありがたみを心の底から感じていた。

日曜に家を出てビジネスホテルに泊まった日はなんの連絡もなかったが、水曜から悠真から幾度となく連絡が来るようになった。もちろん返信もしないし、電話も出ることはない。彼からのメッセージを確認すると最初こそもうこんなことはしないと反省を述べるような文が書かれていた。戻ってきてほしいと毎日何度もメッセージが来ていたが返信しない私に痺れを切らしたのか電話が来るようになり、それにもでないでいると徐々に脅迫めいたメッセージへと変わっていった。

【これだけ香奈美のことを思っているのになんで返信も電話にも出てくれないの？　今どこにいるの？】
【香奈美がいないと俺はダメだ】
そんなことを書いてきたかと思った次には、
【いい加減にしろよ。俺が下手に出ているからっていい気になっているのか？　いい加減家に帰ってこい】
【香奈美がその気なら俺にも考えがある】
1日に何度もこんな内容が繰り返し送られてくる。彼も情緒不安定なのか日増しに振り幅が大きくなり私のメンタルも削られていく。もし住むところがなかったら悠真からの優しいメッセージを見たら彼を許してしまっていたかもしれない。でも彼から離れてみて彼の異常性がわかった。私に何もかも依存していたんだろう。今は食事も洗濯も何もできずに困っているのだろう。そもそも働いているはずなのになぜこんなにメッセージも電話もしてこれるのか不思議でならない。
スマホをすぐに変えることもできず今は無音にしているが、画面を開くたびに彼からの着信を見るだけで気持ちが落ちる。

「中丸さん、今日お昼を食べながら少し話をしないか？」

ドアの外から藤代さんの声が聞こえてくる。私がドアを開け廊下に出るとまだスウェット姿の彼が立っていた。

「はい。大丈夫です」

「どこかに食べにいく？　デリバリーでもいいし」

「じゃ、私が簡単に作るんでもいいですか？　せっかくの休みですし」

「いいの？」

「はい」