俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「この前話を聞いて慰謝料請求できるのではないかと思ったんだ。結婚前提だったんだろう? 一緒に住んでいるのに生活費は出さない、それに他の女との浮気も公共のものであるテレビに映っていて、これ以上の証拠はない。結婚詐欺、婚約不履行だ。それに今の君に様子をみると電話も度々きているのか? 内容次第では脅迫罪だ」

「そうなんですか?」

「今日はその話をしようと思っていた。友人の弁護士がいるんだが相談してみないか? 君のマンションに居座られても困るだろう。俺の友人だから悪いようにはしない」

今だってルームシェアしてもらえているだけで本当に助かっている。これ以上彼に迷惑をかけてもいいのだろうか。

「中丸さんは人を頼るのが下手だな。俺はしたくてしているんだ。したくなければ最初からしていない。俺が君を助けたいって思うからしているだけだ」

私は確かに頼られることに責任感を感じ頑張るタイプだと思う。長女気質とでもいうのだろうか。だから自分の弱みをなかなか見せられないし、頼りないって人から思われないように気を張っていると思う。でもこの前から藤代さんには情けないところを見られ続け、少しだけ自分の殻を抜け出た気がする。人を頼ってもいいんだと思わせてくれる。

「私、彼ときちんと決別したいんです。毎日のようにメッセージも電話もきて困ってます。助けてもらえませんか?」

やっと口に出した私の本音に彼は笑顔で頷いてくれる。

「もちろん、助けるよ。友人にすぐ連絡を取ろう」

彼はポケットの中のスマホに電話をかけるとすぐにつながったようで簡単に内容を説明してくれた。10分近く話込んでいただろうか。私が説明するよりも的確に弁護士さんに説明してくれており感心した。

咲坂(さきさか)っていうんだ。刑事も民事もやっているし、学生のころからの友人だから信用していい。中丸からも話を聞きたいからここにきてもいいかって。1時間くらいで終わるっていうからきてもらっていいか? いつまでも話を先延ばしにできないだろう?」

「はい。大丈夫です」

すると彼は保留にしていた電話に今から大丈夫なことを伝えた。
ふたりで食事の片付けをしているとインターホンが鳴った。藤代さんが出てくれると咲坂さんだったようで開錠していた。
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