俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「それで、さっきの話に戻るんだが、一人でしばらくで歩かないほうがいいと思う」

「そうですね」

「だからもし必要なものがあれば一緒に買い物に行こう。俺は外食だが、きみは食材がないと困るだろう?」

確かにさっき残り物を使い果たしてしまった。貯金もあまりないため買ったものばかり食べるわけにもいかない。

「すみません。買い物に行きたいです」

「もちろんいいさ。このあと車を出すから行くか」

「あの、藤代さんの分も作ってはダメですか? 一緒に通勤してもらえるのならそのあとにまた外出するのも大変ですし。ただ、あまりオシャレな料理とかはできないんですけど」

さっき出したような余り物を使ったようなものやアレンジしたようなものばかりでレストランで出るようなものはできない。本当に普通の家庭料理しかできないが少しでも藤代さんの負担になりたくない。

「いいのか? 助かるよ。仕事がら不規則だから食事はきちんとしたくて手伝いの人に作り置きを頼んでいたんだ。中丸さんのさっきの料理すごく美味しかったしお願いしたい。でも無理な時は作らなくていい。お互い仕事しているんだからできない日もやりたくない日もあるだろう?」

悠真の反面教師のような回答にクスッと笑ってしまった。元から藤代さんはそんな強要するような人ではないとわかっている。でもきっと私が二の舞にならないように声をかけてくれたのだろう。

「無理はしません。さっきみたいにインスタントのスープも出しますから」

「もちろん」

彼と一緒にいるとなぜか心の内を素直に出せる。最初に泣いてしまったからなのだろうか。仕事の彼と普段のこんな表情を見せる彼とのギャップに胸が騒がしくなるのがわかった。
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