俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
地下駐車場に停めてある車に乗せられ近くのショッピングモールへ向かう。彼の車に乗ったのは2度目。前回も思ったが彼の運転は乗っていて安心。車線変更も停止もスムーズだ。バックミラーを見る仕草ひとつとってもなぜか男らしさを感じてしまい、彼を直視できなかった。
手近にあった荷物だけしか持ってこれず服を着回すのにも限界があった。それを気にしていたのを知ってか知らずか、藤代さんは普段着るものや日用品が不足しているんじゃないか?と心配してくれ、近くのスーパーではなくわざわざ足を伸ばしショッピングモールへ連れてきてくれた。別行動をするのかと思っていたが一緒に見て回ると言われ少し驚いたが、オフィスカジュアルな服を取り扱うお店を覗くと彼もメンズコーナーへ行き服を選んでいた。
始めこそ藤代さんの動向を見て、どうしたらいいのだろうと視線を彷徨わせていたが、それも徐々に慣れてきた。思ったことを口にできるようになった。お互いに気を使うことなく好きなお店を見て周り、時には意見も言い合いながらショッピングしたのはいつぶりだろう。藤代さんははっきりと言ってくれるので悩んでいる時に参考になる。それにさりげなくに荷物を持ってくれる。こんな人が彼だったら、とふと思い顔が熱くなるのを感じた。私ったら少し親切にしてもらっただけでそんなことを考えてしまうなんて。でもこんな優しくて気のきく彼だったらとつい彼を見つめてしまった。

「お腹すいた?」

私の視線に気がつき彼が笑って声をかける。私の視線なんて甘いものではなく、彼にとってはお腹がすいたかわいそうな子としか思われないんだと思うとなんだか自分が情けなくなり笑えてきた。

「そうですね。そろそろ休憩にしませんか?」

フードコートへ行くと人が溢れていた。なんとか席を確保すると藤代さんが何を食べたいのか聞かれ、買いに行ってくれた。ここまでしてもらっていいのかな、と思うが彼はスマートに私に席で待つように声をかけてくれた。
しばし待つと彼は2人分のパスタとドリンクを持ち、戻ってきた。

「ありがとうございます」

お金を払おうとするるが彼は受け取ろうとしない。

「このくらい大したことない」

いくら彼のほうが収入が多いとはいえ、そこまで私より収入が多いとも思えない。こんな甘えてばかりでいいのかなと彼の顔を伺ってしまうが、気にしていないようで男らしく大盛りになったパスタを食べ始めていた。
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