俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
家に帰ると一緒に冷蔵庫の中にしまう。今まで何も入っていなかった冷蔵庫が一気に生活感が出てきた。

「今日は煮魚とポテトサラダと味噌汁だよな?」

「はい」

さっき相談してメニューは決めた。すると彼は「俺も手伝うから作る時には声かけて」と言い、買った洋服を持つと自室に入って行った。
一緒に作る? まさか藤代さんが一緒に作るなんて考えてもみなかった。キッチンに並んで作ることを考えただけで胸がドキドキしはじめた。
私も買ったものを持つと自室に戻るが、まだ胸はドキドキしたまま。
藤代さんといると楽しい。一緒にいるだけでホッとするし、気を使わずに素の自分でいられる。
比べてはダメだと思うけれど、藤代さんと悠真は全然違う。付き合っていないのにどうしてこんなに優しいんだろう。どうして結婚前提の悠真はこんなにも優しさがなくなってしまったのだろう。私がなんでもやってあげすぎたからダメになってしまったのだろうか。
そんなことを考えているとスマホの着信に気がついた。画面を見ると【悠真】と表示が出ている。さっきまでの幸せな気分は消え、現実に引き戻すされてしまう。何コールかしたところで切れてしまうが、その後も立て続けに鳴らし続ける。私はその画面表示を見つめたまま動けない。ようやく鳴り止むと留守電の表示がされていた。私は恐る恐る録音を再生すると、弁護士がマンションに来たが自分はここから出ていくつもりはない、私との結婚の意思はあり話合いたいと入っていた。咲坂さんがもう動いてくれたんだと嬉しく思う反面、悠真からの連絡を恐ろしく感じた。先ほどの留守のメッセージは語気も荒く怒りがこもっていた。どう考えても結婚の意思があると思えないし、二人きりで話し合いたいとは思えなかった。
スマホを手に頭の中が真っ白になってしまっているとまた着信があり、ビクッとしてしまった。けれど表示はこの前連絡先の交換をした咲坂さんからだった。
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