俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
咲坂さんに言われたようにメッセージや留守電を転送していると部屋をノックされた。

「中丸さん、今いい？」

藤代さんが廊下から声をかけてきた。もう夕飯の支度の時間になってしまったのだろうか。

「はい、ごめんなさい。いま食事の支度をしますね」

「いや、そうじゃなくて」

藤代さんの話はそのまま途切れてしまい、私は廊下に顔を出した。

「今、咲坂から連絡がきたんだ。中丸さんにも来ただろ？　俺には直接話の内容までは守秘義務だとか言って教えてくれなかったんだが、大丈夫か？」

心配そうな表情を浮かべ、私の様子を伺ってくる藤代さんからは本当に心配してくれているのだと感じる。

「ご心配をお掛けしてすみません。咲坂さんが彼と話してくれたようなんですが、別れるつもりも部屋を出るつもりもないとさっき留守電に入っていました」

「そうか」

「ははは、なんか信じられないですよね。浮気してたのにいまだに結婚する気があるって言うなんて」

自虐的な言い方になってしまったが、もう笑うしかない。私が元に戻ると思っているなんて信じられないし、呆れてものも言えない。こんな人とどうして付き合ってしまったのだろう。
作り笑いを浮かべていると、藤代さんは顔を歪めた。かと思った瞬間気がつくと彼の腕の中にいた。
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