俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「中丸さんは悪くない。そんなに自分を否定するな」

頭の上から聞こえてきた彼の声に胸がギュッと締め付けられる。

「同じ男として信じられないな。こんな可愛い君を疎かにして浮気するなんて。俺なら決してそんなことはしない」
 
抱きしめられた手がさらに強くなり、私の胸は鼓動を速める。
何が起きたの?
私はされるがままに彼の腕の中にいた。
決して嫌な気持ちはない。
強く抱きしめられているはずなのに何故か包み込むような優しさがあった。
あたたかい……。人の温もりってこんなに気持ちのいいものだった?
どのくらいこうしていたのだろう。ふっと彼が私から離れた。

「すまない、勝手なことをして」

「い、いえ」

「さ、そろそろ夕飯つくるか」

彼は私の目を見ず、さっとキッチンへ向かって行ってしまった。
温もりが消え、急に心細くなるような切なくなるようななんとも言えない気持ちになった。
今日は一緒に出かけ、すごく楽しくてドキドキした。でも帰ってきて悠真からの電話に気分は落ち込み、動揺した。そして今藤代さんに抱きしめられた。今日1日で私のメンタルは乱高下だ。
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