俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜

直接対決

翌朝、職場につきいつものように仕事をパソコンを立ち上げると何故か周りの人から見られている気がした。ふと顔を上げると私の方を向きながら訝しげに話をしているのがわかる。なぜだろう。髪の毛に何かついているのではないかと触ってみるが何もない。私が周りを見渡すと視線を逸らされてしまう。
気になるものの、私はいつも通りルーティンワークに取りかかった。
午前中はいつもと同じように仕事を進めるが昼食を過ぎた頃からさらに私への視線が気になるようになってきた。
そんな時いつものように真鍋くんが顔を出してきた。

「中丸さん、この前の資料ありがとうございました。お礼を言いにくるのが遅くなってすみません」

「そんなの気にしなくてもいいのに」

「いえ、急ぎで作ってもらって本当に助かりました。藤代さんからもあのあとお礼を言うように言われました。中丸さんだって忙しいのに対応してくれているんだから毎回無理を言ってはダメだと注意もされましたけど」

頭をかきながら私の横に立つ真壁くんはなんだか可愛らしい。素直に先輩の話を聞ける彼は部署でも買いがられているのだろう。この前も藤代さんから人当たりの良さは天性のものだと言われていたくらいだ。これから有望なのだろう。コンビニのチョコレートをこっそり差し出すあたりも人の心を掴むのが上手い。

「これ……ありがとね」

小さな声で伝えると彼はにっこり笑いながら、

「またご迷惑をかけるかも、の賄賂も含まれています」

と小声でユニークな返事を返してきた。
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