俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
真鍋くんが部署を去ったあとまたコソコソと話しているのが気になって仕方ない。
今日はなんなんだろう……。
そう思っていると同期の結城(ゆうき)美和(みわ)からメッセージがきた。

【悠真くんと別れたの? 昨日藤代さんと一緒にショッピングしていたって噂になっているよ】

え? まさか昨日の買い物を見られていたの?
思わず周囲を見渡すと視線を逸らされるのを感じた。
周囲と上手くいっていないわけではないが、NOと言えない私が仕事を引き受けてしまうので周囲からはやりにくいと直接言われたことはないが肌で感じるものがあった。なので部署でもやや浮きがちなのは理解している。だから同期の中でも美和や数人の子としか気さくに話すこともない。それが幸いして、みんなは藤代さんとの関係を聞きたくても聞きに来れなかったんだ、と理解した。

【悠真とは色々あって別れたの。藤代さんとはなんでもないよ】

するとすぐに返信があり、今日の帰りにゆっくり話を聞かせてと言われてしまった。今まで悠真の都合に合わせていたから美和と仕事帰りに会うなんていつぶりだろう。早速18時にエントランスで待ち合わせてスペインバルに行こうと連絡がきた。
みんながなぜ私を見ながらコソコソとしているのか理由はわかった。藤代さんの方にも迷惑をかけていることだろう。ひとまずこっそりとメッセージを送った。

【昨日買い物に行ったところを見られてしまったようです。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今日は同期と帰りに出かけるので遅くなります。謝罪は改めてさせてください】

するとすぐに既読がつき、返信がきた。

【大丈夫だ。迷惑なんてかけられていない。同期と夕食に行くのはいいが、必ず帰る時には連絡をしてきてくれ。待ち伏せでもされていたらと思うと心配だ】

確かに昨日の今日だ、電話に出ない私にヤキモキして押しかけてきてもおかしくはない。でもプライドの高い彼のことだ、美和がいる時には接触してこないだろう。ただ、自分でもそこまで考えていなかったのに心配し、指摘され胸に温かいものが流れ込んできた。

【ありがとうございます】

【必ず連絡をするように】

念を入れるように再確認をされ思わず頬が緩むのがわかった。
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