俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「お疲れー」

ふたりでサングリアの入ったグラスを合わせた。
会社を出る時に周囲を見渡したが悠真の姿は見えずホッとした。
美和はメニューを見て私の意見を聞きながらどんどんと注文してしまった。

「さて、これでよし。では本題のどういうことなのか教えてもらおうかな」

満面の笑みを浮かべ美和は物知りたげに私の方へ乗り出してきた。

「あ、うん……」

何から話せばいいのかわからない。でも悠真のことは随分前に美和に紹介したことがあるからなんとなくわかっているだろう。
悠真が出張だと言っていたはずなのにテレビに映る女の子との姿を見かけてしまったこと、それを問い詰めたら遊びだと言われたこと、もう一緒に暮らせないし結婚も考えられないと思った話をぽつりぽつりと話始めた。彼女は相槌を打ちながら、時折驚くような表情を見せてきた。

「香奈美はもう元に戻るつもりはないんだよね?」

「うん。もう元には絶対に戻るつもりはない。今弁護士さんにも相談しているの」

「そっか。なら言うけど、悠真くんと別れて正解だと思うよ。いつも振り回されて香奈美辛そうだったもん」


え? 美和の言葉に少し驚いてしまった。

「会った頃の香奈美はもっとはつらつとしていてなんて言うか生き生きしていたよ。でも悠真くんと付き合い始めて、同棲した頃からなんだかとっても疲れてるなって思ってた。気晴らしにと思って飲みに誘っても全然こないし、どんどん香奈美らしさがなくなっていく気がしてたの」

「そうだった?」

「うん。悠真くんに気を使っているのを周りから見てもすごく感じてた。だから正直なところこのままで香奈美は幸せになれるのかなって感じてた」

美和のストレートな言葉が胸に刺さる。私悠真といても幸せに見えなかったんだ。
ハハハ、と乾いた笑いが込み上げてきた。
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