俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「本当にそうかもね。私あのまま流れるように結婚したとして彼の言いなりになって自分の意見も言えずにいたと思う」

「うん……。でもさ、なんだか吹っ切れたみたいにスッキリした顔してるね。これって藤代さんのおかげなのかな？」

含み笑いをした美和は私の顔をまじまじと見てきた。きっとここからの話が本題だろう。

「藤代さんとはなんでもない」

「でも一緒に買い物していたのは事実でしょ？」

「うん。でも藤代さんとは本当になんでもないの。美和、内緒にしてくれる？」

私は美和だったら信用できると思い、正直に藤代さんの家でお世話になっていることを話した。

「それって同棲？」

違う！と私は即座に答えた。藤代さんの沽券に関わると慌てて答えると美和は肩を竦めた。

「住み込み家政婦みたいなもの。藤代さんの家政婦がちょうど辞めて困っていたみたいなの」

ふぅーん、と納得してはいいなさそうな反応の美和は身を乗り出してきた。

「それって香奈美のことが好きだから提案したんじゃないの？」

「そんなことあるわけない！」

「どうして？　そんなタイミングよく家政婦が辞める？　そもそも一会社員が家政婦なんて必要？」

彼のマンションを見る限り家政婦はいてもおかしくはないと思う。管理を任されているって話していたけど、そもそも一会社員の藤代さんが家政婦を頼めるとは思えない。この前は彼の言葉を聞きそのまま話を受け入れてしまったが確かに不思議である。

「香奈美のことが気になるから、心配だから匿ってくれているんじゃないの」

「まさか」

美和に言われた言葉に思わず胸の奥が締め付けられた。もしそうだったら、なんて考えるだけで胸の奥底が騒々しい。
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