俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
痛い、と思ったのは一瞬だった。

「君こそいい加減にしたほうがいい。こんな場所で騒ぐなんて大人気ないな。ま、でもおかげでいいのが撮れたよ」

スマホを掲げ、今も動画撮影しているのを悠真に見せていた。

「言い逃れができないくらい君が脅迫しているのも、手を握りしめ暴行していたのも多くの人が見ていたよ」

確かに私たちの周りには何事かと訝しげに往来の人が見ていた。

「こんなのことをしてただで済むと思うな。これも弁護士に送る。覚悟するんだな」

悠真はハッとして青ざめていた。違う、違うと言いながら後退り、改札の中へと消えていった。
私はホッとしたのも束の間、思わず膝から崩れ落ちた。

「おい、大丈夫か? 悪かった、助けるのが遅くなって」

藤代さんは私の手を引き、抱き抱えると近くにあったベンチに座らせた。

「悪かった」

藤代さんはベンチに座る私の前で頭を下げた。私が慌てていると、

「改札を出たところであいつが君の後ろにいたのに気がついたんだ。すぐに駆けつけることもできたのに、本当にすまない」

「いえ。でも最後には助けてくれたじゃないですか」

「君たちのやり取りを証拠に残さないといけないとわかってはいても、君が虐げられている姿を見るのは辛かった。すぐに助けてあげたかった」

彼は絞り出すように声を発すると、私を包み込むように上から抱きしめられた。屋外にいるのに彼の匂いがした。それを感じるくらいの距離感に私の胸は騒がしくなる。そのおかげなのか悠真への恐怖感は消えていった。
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