俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
私が落ち着くのを待ってくれ、自然と手を繋ぎながらマンションへと帰った。会話は何もない。ただ、手を引かれて歩いただけ。
私は部屋へ入るとまじまじと自分の右手を見つめる。
彼の手はとても温かくて大きかった。
へなへなと座り込むと顔を手で覆った。
藤代さんを好きになってはいけない。今の関係が壊れてしまう。
でも、藤代さんを好きになってしまったんだと自覚せざるを得なかった。一緒に暮らして日も浅い。それに私は悠真と別れたばかり。それなのに彼を好きになってしまうなんていけないことだと思うが、それでも彼への気持ちが溢れてくるのを感じた。さりげない彼の行動一つ一つが大切なものに感じる。
どうしよう。
悠真に怒鳴られて脅迫まがいの話をされたよりも、彼に抱きしめられた感触の方が私の心を揺さぶる。
藤代さんは私を助けるためにここに親切で住まわせてくれているのに、私がこんな邪な気持ちを抱いてしまったと知られたらどう思われてしまうのだろう。
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