俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「中丸さん?」 

その声に振り向くと藤代さんが私の真後ろにいた。

「どうした? 大丈夫か?」

ハッと我に帰った私は笑顔を作った。

「お疲れ様です」

「あぁ、お疲れ様。それよりどうした? なんだか顔色が悪いみたいだが」

「ハハハ、大丈夫です。それじゃ、失礼します」

慌ててスマホをバッグにしまうと足早に改札へ向かった。
電車の中で悠真にメッセージを送るが既読はつかない。
はぁ、なんでこうなっちゃうんだろう。
マンションに帰るが電気は暗く洗濯は外に干したまま。悠真はもう帰っていたはずなのに……。虚しくなりながら窓を開けると洗濯をしまった。
悠真がいないので夕飯を作る気にもなれず、冷凍庫から取り出したパスタをレンジにかける。
疲れた……。今日はお昼も取らず夕飯を作るために頑張ったのに。
急に虚しさが込み上げパスタを食べながらふと気がつくと涙が頬を伝っていた。
その日はいくら待っても悠真は帰ってこなかった。
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