俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
え?
どういう意味にとっていいのかわからず返答できない。
昨日私の頭の中を何度となく巡っていた彼への気持ちが思わず口に出てしまいそうになった。
でも、まさかそんなはずはないと自分自身を宥め作り笑顔を浮かべる。

「親切にしていただいてありがとうございます。藤代さんにこんなにお世話になってしまって感謝の言葉もないです。ではもうしばらくは家政婦として働かせてください」

そう伝えると、彼はぎこちなく頷いていた。
気まずい空気の中私は朝ご飯の支度を始めると、彼は洗面所へ行ってしまった。
一緒の食卓で朝ごはんを食べると今日も一緒に出勤するが、ショッピングをしていたと噂になってしまったこともあり電車を降りると離れつつもお互いの視界に入る距離で歩き始めた。
本当は別々に出勤すべきだが、昨日悠真が現れたことで藤代さんは敏感になっていた。昨日の時点で咲坂さんへ連絡を取ってくれたようだが、ああいう人の行動は何をするかわからないからと言われてしまうとやはり昨日の恐怖が拭い去れなかった。

「人の噂なんて当てにならないものだ。堂々としていたらそのうち消えるさ。だから中丸さんはそんなに気にしなくていい」

そんな言葉に支えられ、彼がそばにいると思うだけで安心できた。
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