俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「今日の夜、一緒に食事をしませんか?」

私が朝食の席で藤代さんに声をかけた。
毎朝の食事は一緒に取っているが、最近夕飯は悠真の心配がなくなったことや藤代さんの仕事が忙しく夕飯はバラバラだ。

「あぁ、そうだな。最近忙しくてゆっくりできてないしな」

「仕事もあるので時間は決めないでおきましょう。私も残業になるかもしれないですし」

「そうだな。でも中丸さんは仕事をやりすぎだ。頑張りすぎるな」

私なんかより藤代さんの方がよっぽどか多くの仕事を抱えている。最近では私が起きているうちに帰宅していない。それでも朝会うたびに「大丈夫か?」と気遣ってくれる。そんな優しい彼だから、もしかしたら私と一緒に帰るためにあの頃は仕事をセーブしていたのかもしれない。
そんな優しい彼は周りのサポートまでこなしており、周囲からも一目置かれる存在だ。独身社員たちの目は彼に釘付けでいつも何処かで噂されている。

「でも私にできることは頑張るくらいしかないんで」

へらっと笑う私はこれと言って人より秀でるものはない。だからこそ他の人より努力しないといけない。少しでもみんなの役に立てるよう頑張るしかない。

「何言ってるんだ。俺たち営業がどれだけ君に助けられてると思ってるんだ? なにかと理由をつけてはダラダラと仕事をされ困ってる俺ら営業にとって君は救世主だよ」

「お世辞でも嬉しいです」

そう言うと私はキッチンの片付けをするために立ち上がった。正面から藤代さんに褒められるなんて恥ずかしい。
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