俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜

ひとりになって

彼のマンションを出て一ヶ月。
ついこの前まで藤代さんのマンションで一緒に暮らしていたのは夢だったような気になる。

「中丸さん、この書類なんですけど………」

最近真鍋くんの仕事量が増えているのか私のところにくる頻度が高くなっている。反対に藤代さんをめっきり職場で見かけなくなっていた。もしかしたら避けられてるのではないか、と頭の片隅をそんな想像がよぎる。

「はぁ……。藤代さんの仕事が一部俺のところに来てるんですけど、あの人は本当にすごいです。俺がいくら頑張ってもあの人の足元にも及ばない」

「え? 藤代さんの仕事が回ってきているの?」

「そうなんです。実はうちの会社が海外に進出するらしいんですけど、そこに藤代さんが引き抜かれたんです。国際事業部の部長だそうです」

知らなかった……。
私がマンションを出た直後は気にかけてくれるメッセージが届いていたが、最近ではめっきり減っている。
もしかしたらもう私に興味がなくなったのではないかと、私からは連絡を取れずにいた。
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