俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「来月からひとまず一ヶ月、シカゴに出張だそうです」

「そんなに?」

「えぇ、そのあとはもしかしたら赴任になったりするんですかね。なんだか手の届かない人になってしまったような気がします」

真鍋くんの言うとおり、私も藤代さんがなんだかとても遠い人になってしまったような気がした。この前まで手を伸ばせば触れられる距離にいたのに、今はこんなに遠い。
私が黙ってしまっていると、真鍋くんは独り言のように話を続ける。

「藤代さんは赴任のタイミングで結婚とかするんですかね。向こうだとやはりホームパーティーとかあるし、その時にホストが務められる人が必要ですもんね。あの容姿ならすぐにいい人が見つかりそうですよね」

そっか。確かに海外ではパートナーの同席を求められるのが多いって聞く。そんな彼の横に立つのはパーフェクトな女性だ。私のような情けない女ではない。見た目も普通のどこにでもいる会社員でもない。海外の話が出て、彼も冷静になったのだろう。このまま距離が離れれば幸い私との関わりがなくなる。それを狙っているのだろう。
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