俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
彼の気持ちを聞き、胸がドキドキしてきた。彼が私に連絡をしたかったと言ってくれただけで顔が熱くなった。私と同じ気持ちでいてくれたんだとわかり、言いたいことはたくさんあるのに言えなくなってしまった。

「中丸さん、俺ときちんと付き合ってほしい。好きなんだ。俺はもう離れているのは嫌だ」

重ねられていた手に力が込められる。

「私も、私も藤代さんといたいです」

胸がいっぱいでこれだけしか伝えられなかった。本当はもっと彼に伝えたい気持ちも言葉もたくさんあるはずなのに、何も出てこない。
ただ、彼は私の言葉を聞くと握られた手を引かれ、あっという間に彼の腕の中に閉じ込められた。

「香奈美」

ぎゅっと抱きしめられた彼の腕はとても心地いい。私もそっと彼の背中に腕を回してみた。手が回らないほどの大きな彼の背中にしがみつくようスーツを握り締めるとさらに強く抱きしめられた。

「ようやく抱きしめられた。一緒に暮らしている時からどれほどこうなりたいと思っていたか……。もう離してやれない。うちから出ると言われた時にはどうしたらいいのかわからなかった。振り向かせてみせると言ったが、それでも自信なんてなかった」

いつも自信に満ち溢れた彼から出る言葉とは思えないくらいに弱気な言葉に少し驚く。

「距離まで離れてしまい、シカゴにいても落ちつかなったよ。早く帰りたい一心で無我夢中で働いてきたんだ。香奈美が俺のいない間に誰かに奪われるんじゃないかと不安だった」

「そんなに私もてないですよ」

「そんなことはない。君が気付かないだけで俺の周りには君を気に入っている奴らがたくさんいる。君が別れたと聞いたらすぐに申し込んでくるだろう」

まさか、そんなわけない。でも彼は抱きしめながら切ない声で話し続ける。
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