俺が君を守ってやる〜御曹司の執愛はどこまでも深く〜
「ここにきてようやく帰ってきたって実感した。君が何も言わなくても出してくれるおにぎりもお茶もホッとしたんだ。俺は君に何かしてもらいたいわけではないんだ。でも、君がいる部屋に帰ってきてホッとさせられるんだ。また一緒に暮らせないか?」

「はい。私も藤代さんともう離れたくないです」

やっと紡いだ声は小さくて彼の耳に届いたかわからない。そう思った瞬間、彼の腕の力が弱まり私は解放された。
自分に正直でありたいとずっと考えていた。本当は正直な気持ちを伝えて振られる予定だったのに、こんな幸せな結末になれるなんて考えてもみなかった。
彼の手が緩んだと思った瞬間私は顔を上げさせられた。そして、一瞬目があったと思ったときにはもう唇が重なっていた。

「本当か?」

私は小さく頷いた。本当は私も藤代さんのそばにずっといたかった。でも悠真のせいで転がり込んだ私にはそんな都合のいいことは言えるわけがなかった。あの時はマンションから出ていくのが筋だと思っていた。

「よかった」

はぁ、と大きく息を吐き出す彼はいつもの自信に満ち溢れている様子とは違い、安堵する様子はなんとも言えなかった。
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